ピーターの法則とデール・カーネギーの人を動かす方法とハースストーン
標題のピーターの法則(ローレンス・J・ピーター)、デール・カーネギーの人を動かす方法。これらはともに自己啓発書である。今回はこれらを試しにハースストーンと取り巻く環境について当てはめて考えてみようという試みである。
1. 自己啓発書
自己啓発書の特徴として、以下のものがあると認識している。
・暗に前提条件がある
・暗に無視された仮定・仮説がある
鵜呑みにするには少々の危険があり、この手の書籍から最大の成果を得るためには、暗にされた条件や仮定・仮説がないかを読みながら、あるいは読み終わってからよく考えることが求められると考える。
そんなこと当たり前だ。そんな方もいらっしゃるだろうが、これは私自身の頭の中の整理でもあるため、どうかご容赦願いたい。
では、始めよう。
2. ピーターの法則(ローレンス・J・ピーター)
ピーターの法則、というものを聞いたことがある方はいるだろうか。
ピーターの法則とは、端的に言うと”人は無能になる地位まで昇進する”という社会階層学の中の一つの法則として当該書籍に紹介される。
人は社会や組織の中に属し活動するとき、必ず昇進するが、持ちうる能力が最大値のもの(現在の仕事)が評価され昇進に至る。昇進した場合、次に必要とされる能力はほとんどの場合において最大値の能力ではなく2番目以下の能力である。次に昇進した場合、3番目以下、4番目以下……というように、昇進した先の地位において要求される能力に対し、その人の持っている能力が徐々に劣っていくことになる。
そして最後は要求される能力のほうが持ちうる能力を超える不適当な地位への昇進を受け、そこでその人は無能となってしまう。従って、会社、組織の管理職層は無能な人間で溢れかえる。裏を返せば社会や組織の仕事・運営は有能な平の人間により遂行されることを意味するのがピーターの法則である。
これをハースストーンおよびその界隈に当てはめてみよう。
ハースストーンを取り巻く人間には以下のように分類されうると考えられる。
・プレイヤー
・キャスター
・オーガナイザー(大会主催・炉端主催など)
・クリエイター(絵や雑貨作成など)
では昇進とは何にあたるか少しばかり考えてみよう。
A.プレイヤー
様々なプレイスタイルが考えられるが、プレイヤーにおける昇進とは、一般的に以下のようなものが考えられる。
・ラダー成績の向上
・大会成績および大会構成能力の向上
・デッキ構築能力の向上
かなり抽象的かつ相互作用もあるが、あなたがプレイヤーの一人であるならば根幹となるのはデッキ構築能力が最も強力で必要な能力であるとわかるだろうし、ラダー成績および大会成績の向上に大きく寄与しうることは身をもって感じていることだろう。
デッキ構築能力が頭打ちするランクに来るとそれを上回るプレイヤーには基本的に勝てないということになる。すなわちその時点での成績で昇進が終わるということである。(ハースストーンにおいては個人の能力の及ばないRNG要素が大いにあるがここでは仮にRNG要素に左右されないとする。)
ただし、大会成績には大会構成能力も少なからず寄与しており、仮にデッキ構築能力と大会構成能力を数値化し、その乗算のスコアで定量的に判断が出来るならば、デッキ構築能力単独では敵わないプレイヤーを下すこともできるだろう。
もちろんこちらもいずれは頭打ちする(昇進できなくなる)ことが容易に想像がつくだろう。
B.キャスター
キャスター陣はいつも大会シーンを効果的に盛り上げてくれる存在であることは自明でる。まずこの投稿の場を借りて感謝の意を表したい。
さて、キャスター陣における昇進とは何を意味するだろうか。きっとプレイヤーほど抽象的にはならないだろう。個人的な見解が含まれるが概ね以下のようなものと考えられる。
・自身の配信
・個人主催大会のキャスター(規模に依らない)
・企業主催大会のキャスター(公式を除く)
・公式主催大会のキャスター(プロとアマの中間)
・ハースストーンを含む様々なゲームにおける大会キャスター(所謂司会業のようなプロに類する)
キャスター陣における昇進とは、より上位の依頼主から依頼が来るか、または、より上位の依頼主への打診をしてくれるような人からの評価の向上である。
プレイヤーと異なり、大会規模そしてメディア露出の範囲において明確にその上位下位が存在すると言える。
キャスター陣の昇進が止まる瞬間は、昨今要求されている能力、つまりゲームそれ自体についての知識、状況に適した品のある語彙(同じ語でも状況により適切か否かを弁えている)、場合によっては容姿(ここに言う容姿とは清潔感を主に指す)により決まってくると考えられる。
C.オーガナイザー
いわゆる主催陣である。プレイヤーを暖炉の火と言うならばコミュニティの暖炉そのものともなりえるだろう。
まずはどのような分類になるか考えてみよう。
・友達同士で集まろうと声をかける者(炉端の集いではない)
・チームやDiscordなどのチャンネルを作る・運営する者
・炉端の集いを開催する者(オープン主催)
・単発大会を主催する者
・定期大会を主催する者
・依頼を受け他主催の運営補助をする者
・依頼を受け公式イベントの運営補助する者
主催陣の昇進とはどのタイミングだろうか。
参加者人数および参加者の満足度が増えたとき、大会やイベントでのトラブルの発生件数が減ったとき、運営補助を依頼されたときなど、比較的数字や規模に現れやすく、個人の範疇であれば企画の規模自体は主催である程度コントロールできる点は他の立場からみると異なる点である。
逆に参加人数が増えないもしくは減った、トラブルの件数が横這い(0件ではない)または増えた、一度補助の依頼を受けたがそれ以降は依頼がないなどは昇進が終わったと考えても差し支えないだろう。しかしながら、短期的結果・成果がすぐにわかるものではなく、キャスター陣と同程度には長期的に観測する必要はあると考えられる。
さて、ピーターの法則により語られている中でここまで暗にされてきた要素はなんだっただろうか。
私の書き方があまりうまくなかったかもしれないが、ピーターの法則に基づき論じる中では、時間経過による人の能力の向上を無視している。
もし自分の能力を磨くことを既にやめているならば、ピーターの法則に則った結果までしか得られないだろうし、ピーター博士の着地点である、”創造的無能”、つまり無能になる昇進の手前で自分があたかも無能であるように演じることで自らの地位を守るべきである。
ピーターの法則から得られる教訓は、学ぶことを辞めてはならないし、何かにつけて自分のほうが上であるという驕りは能力の向上を阻む、ということだろうと私は理解した。聡明な皆様ならばどのように考えるだろうか。
2. デール・カーネギーの人を動かす方法
***後日更新***